「天国の口探し」

 北木島の南西部には人知れず眠っているビーチが3つもあります。車が通れない農道沿いにあるそのビーチは、一の浜、二の浜、三の浜と呼ばれアクセスは悪いけど秘境感抜群。そういう場所が好きな人は必ずいるはずっ!ということで、普段から何かと面倒を見てくれているヒロシ先輩にガイドをしてもらい、浜探しにでかけました。

 出発の前に渡されたのは甘夏で、昔から漁や畑仕事に出る人々の水筒代わりだったらしいです。島に昔からある家の庭には、だいたい甘夏が植えられているんだとか。 

 なかなかの急斜面を下っているのに、ヒロシ先輩は両手をポケットにつっこんでひょいひょい歩いていきます。こんな元気な70代になりたいなぁ・・・そんなことを考えながら背中を追っていると「これも水筒代わりじゃ。」と謎の植物をへし折ってくれました。島では「なずな」や「すっぽん」と呼ばれているらしく、水分が多くちょっと酸味があって、さっぱりと喉を潤してくれました。あとで調べたら「イタドリ」というタデ科の植物のようで呼び方は地域それぞれ。煮ても美味しいそうです。甘夏にイタドリ、そこらにあるものを取ってすぐに頂き、喉の渇きを癒やすのはとても贅沢に感じます。

  農道からあぜ道を下り始めて7.8分が経ったでしょうか、波の音が聞こえてきました。そして、葦のトンネルをくぐった先に・・・

 二ノ浜です。全長およそ200mくらいでしょうか?とても美しい砂浜です。今日は風が強く、瀬戸内海ではこの波の高さでも荒れている方。満潮から少し引いた頃合いでこれだけ浜が残っているので、満潮でもテントを張れるスペースは十分にありそうです。何よりビン系のゴミや石が全く見当たらないので、気持よく裸足でうろうろできるのがいいです。もちろんトイレや水道はありませんが、昔はヒロシさんも釣り竿を一本とお酒を脇にかかえ、奥さんとよくこの浜で遊んだそうです。

 再び農道に戻って三の浜へ向かう途中、山菜採りをしているスズコさんを発見。手には食べごろのワラビをたくさん持っています。

 ワラビの群生地を横目でしっかりとおさえつつ、三の浜を目指します。

 こちらも農道から下り始めて10分ほどでしょうか。突然視界が開いてくると・・・

目の前には二ノ浜より長くて広い砂浜が!!300メートルくらいあるでしょうか?こりゃ気持ちいい。

 さらに、先にある岩場に行ってみると「にがつぶ」「おとこつぶ」「おなごつぶ」と、つぶ貝オールスターがびっしり。「おなごつぶ」と口にした時だけヒロシ先輩の顔がスケベそうに見えたのはさておき、この3種類が揃っている場所はなかなかないんだとか。

 もう少しあたたかくなったら、ここで0円生活やってみよう。今日は本当にいい浜が見つかって良かったです。ヒロシ先輩、すずこさんお世話になりました。ありがとうございます。